コリアンウェディングの伝統儀式、ペベクって聞いたことありますか?
DEPO LABOで撮影させて頂いた結婚式の中にペベクを行っている新郎新婦がいて、私は初めてその儀式の存在を知りました。
新婦がお義父さん・お義母さんに対して丁寧で長いお辞儀をしたり、投げられた木の実を受け止めたり、新郎新婦がポッキーゲームのようなことをしたり・・・
初めて見る私にとっては、とても興味深い工程ばかりでした。
古い儀式のため、最近の若い新郎新婦の中では、ペベクっていう伝統儀式があるみたいだけど・・・あまり詳しい内容は知らないという方が増えているようです。
在日コリアンウェディングをするのであれば、伝統儀式であるペベクをぜひ取り入れたいという新郎新婦のために、今回はそのペベクをご紹介致します!
▼幣帛(ペベク)ってそもそも何?儀式にこめられた意味とは?
▼ペベクはこんな風に行われていた!実際の撮影風景からその流れをご紹介!
▼さすが本場!ロッテホテルにあるペベクルームとは!?
▼まとめ
▼幣帛(ペベク)ってそもそも何?儀式にこめられた意味とは?
花嫁が初めて嫁ぎ先の家族に挨拶する場となるが幣帛(ペベク)です。
元々は新婦の家で式を挙げて、1~3日後、婚家に行き新朗の家族に礼を挙げるために、新婦の家から準備して行く「供物」を意味するものでした。
現在は新しく家族になる新婦が、嫁ぎ先の舅・姑や近親者に結婚の挨拶をする儀式のことを表すものとなっています。
新婦の親族も交え行う場合もありますが、新郎の親族のみにあいさつするのが本来の習わしです。
最近では男女平等社会となり時代の流れで、新婦の親族も一緒にペベクを受ける世帯が増えています。
ペベクという珍しい儀式をぜひ友人に見てもらいたいということで、親しい友人を呼ぶ方もいるそうです。
伝統的な儀式ではありますが、時代の流れと共に少しずつ形が変わっていっているんですね。
新郎は「紗帽冠帯(サモクァンデ)」と呼ばれる伝統的な礼装、新婦はチマチョゴリの上に袖が大きく仕立てられた「円衫(ウォンサム)」という衣装を着て、頭にチョクドリ(冠)をつけます。
また新婦は両頬に赤い印「ヨンジコンジ」と呼ばれる、真っ赤なチークのような印を付けます。
これは伝統婚礼では定番の化粧で、雑鬼が嫌う赤色で邪気を払うという意味があります。
儀式は挙式や披露宴が終わったあと、ペベク室と呼ばれる別室で行われます。
▼ペベクはこんな風に行われていた!実際の撮影風景からその流れをご紹介!
次に、DEPO LABOで実際撮影させて頂いたペベクから、その流れを詳しくご紹介します!
友人が参加したりと、伝統的なペベクも少しずつかわってきているとお話ししましたが、その他の部分でも進行がしやすい様に変化があるようです。
そのような点にも注目しながら、ペベクの流れをご紹介します!
新郎新婦の装いは?誰が参加する?
流れのご紹介の前に、どのようなシチュエーションでペベクが行われていたかをご紹介します。
新郎新婦は送賓後、そのままペベク室として用意された部屋に向かいました。
そのため、ペベク用のチマチョゴリなどにに着替えることはなく、新婦は披露宴で着たチマチョゴリ、新郎はスーツのままという装いです。
出席者は、新郎側の親族だけではなく、新婦側の親族の方もいました。
新郎側・新婦側で両側に椅子を並べて座る、親族紹介の時のようなスタイルです。
①お義父さんとお義母さんに韓国の伝統的なお辞儀クンジョルをする
まずはお義父さんとお義母さんに対して、韓国の伝統的な深いお辞儀であるクンジョルをします。
クンジョルから、新郎新婦そろって行う場合がほとんどですが、今回の場合は新婦1人で行っていました。
このクンジョル、両脇を抱えている方が2名いることからも分かるように、とっても大変そうなんです。
立った状態→しゃがむ→座る→お辞儀→立つ
というのがクンジョルの1セットとなっていて、それを手を使わずに行わなければいけないんです。
お手伝いの方がいなければ辛いですよね。
このクンジョル、儀式の中でこれから何度も出てきます。
なんと、ペベクの原則ではまずこのクンジョルを4回行うそうです!
手を使わないで立った状態から座って、立ってを4回行うというのは相当大変な運動ですよね・・・。
今回の場合はクンジョルは1回でした。
②幣帛膳(ペベッサン)を開けて、お義父さんとお義母さんにお酒をつぐ
儀式が始まる時から、用意されていたお重のようなものは、栗やなつめ・乾物の盛り合わせなどのが入った幣帛膳(ペベッサン)と呼ばれるものです。
栗やなつめは、今後の儀式でも使用される重要なアイテムとなっています。
その後は、お義父さんとお義母さんに順番にお酒を注ぎ
儀式の始めにもした、韓国の伝統的な深いお辞儀クンジョルをします。
お義父さんお義母さんにお酒を注いでまとめてクンジョルをするのではなく、お義父さんにお酒を注いでクンジョル、お義母さんにお酒を注いでクンジョルというセットを繰り返します。
③新郎側親族にクンジョル
④お義父さん・お義母さんから祝福の言葉
お義父さん、お義母さんから祝福の言葉が送られます。
私は韓国語が全く分からないのでどのような内容の言葉かは分からなかったのですが、新婦はニコニコ笑いながらうなずいて、お2人からの言葉を聞いていました。
⑤新婦の手を覆っていた白い布に、お義父さんとお義母さんがナツメと栗を投げる
今回のペベクではここから新郎が参加していました。
幣帛膳(ペベッサン)の中に入っていた、栗とナツメはここで登場します。
ナツメは男の子、栗は女の子を意味するものとなっています。
その栗とナツメを、新郎新婦が持つ布の上にお義父さん・お義母さんが投げ、キャッチした数だけ子宝に恵まれるという意味を持つ儀式です。
かなりの数が入っていますね。
⑥ナツメの実を食べ合う
冒頭で、ポッキーゲームのような・・・とお伝えした儀式がこちらです。
ナツメの実を両側から新郎新婦で食べ合い、口に種が入った方が新婚生活で主導権を握ると言われています。
通常、種は新婦に譲る流れとなっているそうです。
なので、
お義母さん「種はどっち?」
新婦「種は今私が噛んでいます」
お義母さん「ということは、かかあ天下ってことだね。幸せになるってことだ」
このようなやりとりがお義母さんと新婦の間で行われていました!
⑥乾杯
親族も含めて、お酒が配られ乾杯です。
⑦チョルカッ(挨拶料)を受け取る
挨拶料とされていますが、このお金は新婚旅行の足しに使って下さいという意味を込めて渡されるお金ということです。
日本では新婚旅行はいつ行くか、あまり厳密には決まっていませんが、韓国では結婚式の当日や次の日から新婚旅行へ旅立つというのがお決まりの流れになっているそうです。
なので、挨拶料という名目で新婚旅行用のお金が渡されるんですね。
今回のペベクではお義父さんから「新婚旅行の足しにして下さい」という言葉とともに封筒が渡されていました。
⑧新郎が新婦をおぶって部屋をぐるっと一周する
今回のペベクでは無かったのですが、儀式の最後に新郎が新婦をおぶって部屋を一周するというものが行われることが多いです。
これは「今後一生面倒をみます」 という意味が込められています。
DEPO LABOが撮影させて頂いたペベクを元に、儀式の流れをご紹介しましたが、⑧番の儀式が無かったようにペベクの流れは全て同じではありません。
1、お義父さんとお義母さんにクンジョルをする
2、お義父さんとお義母さんが新郎新婦に祝福の言葉などを贈る
3、新婦の手を覆っていた白い布に、お義父さんとお義母さんがナツメと栗を投げ、新郎新婦がキャッチする。
5、近親者への挨拶
というのが必ず行われるおおまかな流れになります。
▼さすが本場!ロッテホテルにあるペベクルームとは!?
少し本題から外れてしまうのですがペベクについて調べて、気になる情報を発見しました。
韓国のホテルで有名なロッテホテルには、なんとペベクルームというペベク専門の部屋が用意されているんです!
窓の装飾や美しい屏風など、とっても豪華なお部屋ですね。
ペベクという儀式を行うためだけに、これだけ豪華な部屋がホテル内に常設されているとは驚きでした。
ペベクという伝統儀式がどれだけ韓国の方々にとって大切にされているかが伝わってきます。
まとめ
韓国の伝統的な婚礼儀式でありペベクをお伝え致しました!
いかがでしたでしょうか?
私が一通りの儀式を拝見させて頂いて思ったことは、ペベルはとにかく丁寧な儀式だなということです。
なぜそう思ったのかというのは、やはりクンジョルが理由です。
クンジョルで儀式が始まり、お酒を注いだあとにはお義父さんとお義母さんに個別にクンジョルをし、親族にもクンジョルをする。
ただのお辞儀ではなく、立って座ってまた立ってというクンジョルだからこそ、より丁寧だなと感じてしまいます。
ペベクの意味は花嫁が初めて嫁ぎ先の家族に挨拶する場ということでしたが、この丁寧な儀式ペベクをすることで、相手側に嫁ぐ気持ちが強く固まるのではないかな・・・と個人的に思いました!
日本にはペベクに当てはまる儀式はないですよね。
結納も少し違いますし、相手側の色に染まりますという意味が込められているというお色直しも、意味は少しだけ似ていますが、違いますよね・・・。
韓国にしかないペベク、在日コリアンウェディングを計画している新郎新婦にはぜひ取り入れて頂きたいです!
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