「アバウト・タイム ~愛おしい時間について~」という映画をご存知でしょうか?
クリスマス映画の定番となっている「ラブアクチュアリ―」のリチャード・カーティス監督が、監督業の締めくくりに撮影した傑作映画です。
タイムトラベルが主題でありながら、恋愛映画と思わせつつ、最後には家族愛を感じさせてくれる・・・・
という映画なのですが、この映画には結婚式の参考にしたい事柄がたくさん詰まっているんです!
アバウトタイムの結婚式については自由な結婚式を作りたい!そのヒントを教えてくれる5つの映画!で少し紹介しましたが、そこではまだまだその魅力をお伝えしきれていませんでした。
以前のブログでご紹介したように新郎新婦の衣装、ゲストの衣装、装飾など、参考にしたい事柄が次々とアバウトタイムの結婚式には出てくるのですが、中でも1番参考にしたいと思うのが父から息子へ向けてのスピーチシーンなんです!
このシーンがとにかく素晴らしい。
この映画を観た人であれば、誰もが名シーンとして思い浮かべる場面だと私は確信しています。
そしてこの父から息子へのスピーチシーンなんですが、花嫁の手紙を書くためのヒントがたくさんつまっているんです!
花嫁の手紙ってやはり、根強い人気を持つ定番演出なんですよね。
なので、楽しみにしているゲストの方って結構多いんです。
そんな期待に応えられる手紙を書くのってどうすれば良いんでしょうか・・・
今まで育ててくれたことへの感謝の気持ちを1枚の手紙にまとめるということですから、かなりの編集能力が必要になります。
そこで、愛を伝える方法という点で、アバウトタイムのお父さんのスピーチがすごく参考になるんです!
そして、大勢のゲストの前で手紙を読むというスタイルが一般的となっている「花嫁の手紙」を少しだけレベルアップさせてくれる技もお父さんのスピーチは教えてくれるんです。
どんな「花嫁の手紙」を書けば良いのか迷っている新婦の皆さまの参考になるように、今回はアバウトタイムのお父さんスピーチを徹底解剖致します!
もちろん、結婚式の乾杯の挨拶や、友人スピーチをするゲストの方の参考にすることも出来ますので、そんな方々にも是非ご覧頂きたいです♪
▼お父さんのスピーチの全文をご紹介!
▼分析してみて分かった!?最高のスピーチの極意とは
▼まとめ
①話すスピードに緩急を付ける。間を入れる。
②「愛している」などの言葉はストレートには伝えない。
③カンペは手助けとして使う
④実体験を思わせる教訓、エピソードを会場全体に向けて話す。
▼まずはお父さんのスピーチの全文をご紹介!
まずはそのスピーチの内容をまるっとご紹介します。
…later on I may tell you about Tim’s many failings as a man and as a table tennis player.
あとで話すけれどティムは男としても卓球でもミスが多かった
But important first to say the one big thing
だが最初に言いたいのは、大事な話だ
I’ve only loved three men in may life.
私が人生で愛した男は3人しかいない
My dad was a frosty bugger so that only leaves dear Uncle Desmond,
薄情な父は論外だ、まず叔父のデズモンド
B.B King , obviously , and this young man here.
B.Bキングは絶対だ、そしてここにいる若者(息子)
I’d only give one piece of advice to anyone marrying.
結婚するカップルに1つだけ忠告したい
We’re all quite similar in the end.
人生は結局同じなんだ
We all get old and tell the same tales too many times.
年を取り同じ話を繰り返す
But try and marry someone kind.
でも誰かと結婚してほしい 優しい人と
And this is a kind man with a good heart.
息子は温かい心を持った優しい男だ
I’m not particularly proud of many things in may life but I am very proud
私は人生において誇れるものは多くないが 心から誇れるのは
to be the father of my son.
彼の父親であることだ
これがお父さんのスピーチの全貌です!
映画の内容を汲んでいる部分があったり、日本語訳では省略されてしまうニュアンスがあるのでぴんと来ない点もあるかと思いますが、父から息子に送るスピーチとして感動する言葉の数々を見つけて頂けたでしょうか。
▼分析してみて分かった!?最高のスピーチの極意とは
お父さんのスピーチは何故ここまで感動を呼び起こすシーンとなっているのか、その理由を解き明かすためにスピーチを細かく分析していきます!
【数字】
まずは、数字です。
一般的なスピーチの平均と比べます。
お父さんのスピーチ
・文字数:484(英語でカウント)
・時間 :1分4秒
一般的なスピーチ
・文字数:1200~1600文字
・時間 :5分以内
1つ前の章で書き出していた時から気が付いていたんですが、短いんです!
一般的なスピーチの半分も話していないんですね。
【話すスピードと間】
数字の部分で、お父さんのスピーチは一般的なものよりかなり短いということが分かりました。
ただ、私はこの映画が大好きで今まで何度繰り替えして観たか覚えていないくらいなのですが、1度もスピーチが短いとは思ったことがないんです。
その大きなポイントは話すスピード、そして間なのではないかと思います!
1言1言を噛みしめるようにゆーっくり話すんです。
ただ、全てをただゆっくり話すのではなく、内容に合わせて緩急を付けています。
たとえば、話始めの
…later on I may tell you about Tim’s many failings as a man and as a table tennis player.
あとで話すけれどティムは男としても卓球でもミスが多かった
お父さんの息子のティムは卓球をするのが趣味なんです。
映画の中では親子の関係を印象づける大事なシーンとなっています。
これは2人の共通の趣味をさらっと触れながらの掴みジョークなので、さらっと早口で話されています。
I’ve only loved three men in may life.
私が人生で愛した男は3人しかいない
My dad was a frosty bugger so that only leaves ■dear Uncle Desmond,
薄情な父は論外だ、まず叔父のデズモンド
B.B King , obviously , and■ this young man here.
B.Bキングは絶対だ、そしてここにいる若者(息子)
青い部分は早く、ピンクの部分はゆっくり話されている部分です。
そして赤い四角は間を置いている部分です。
お父さんから息子、そして叔父さんへも愛を伝える大切なセリフなので、伝えたい部分はゆっくり話します。
さらに、伝えたい部分の前に少し間を置くのですが、この間が少しあるだけで大事なことを言うんだなという雰囲気が聞いている側には伝わるんです。
映画の最後の方では、叔父さんが「君のお父さんは僕のことを愛していると言ってくれた」と言うシーンがあります。
ゆっくり丁寧に発せられた言葉だからこそ、叔父さんの心にも深く残るスピーチになったのではないでしょうか。
【愛の伝え方】
冒頭でも少しご紹介しましたが、アバウトタイムはタイムトラベルが出来る主人公ティムのお話です。
ティムの一族がタイムトラベルが出来るという設定なので、お父さんもティムと同じ様にタイムトラベルが出来ます。
実は、このご紹介しているスピーチは、1度目のスピーチでI love you という言葉を言いたかった(言い忘れた)というお父さんの2回目のチャレンジだったんです。
ティムは「言葉は無くても伝わってきたよ」と言ったのですが、お父さんは「結婚式にそれでは満足できない」という理由で2回目のチャレンジをするためにタイムトラベルをします。
そこで2回目のスピーチでI love you を言うために話した内容が先ほどの話し方の緩急でもご紹介した、この内容なんです。
I’ve only loved three men in may life.
私が人生で愛した男は3人しかいない
My dad was a frosty bugger so that only leaves dear Uncle Desmond,
薄情な父は論外だ、まず叔父のデズモンド
B.B King , obviously , and this young man here.
B.Bキングは絶対だ、そしてここにいる若者(息子)
I love you と言うためにタイムトラベルをしたのに、I love you という言葉そのものは入っていないんです!
この表現方法が本当にかっこいいなと思うんです!
【カンペを用意していない】
お父さん、実はこのスピーチをカンペ無しで話しているんです。
聞いている側としては、その場で考えて話しているように見えます。
想像してみてください。
先ほど、I love youの表現方法がかっこいいとご紹介したこの内容・・・
I’ve only loved three men in may life.
私が人生で愛した男は3人しかいない
My dad was a frosty bugger so that only leaves dear Uncle Desmond,
薄情な父は論外だ、まず叔父のデズモンド
B.B King , obviously , and this young man here.
B.Bキングは絶対だ、そしてここにいる若者(息子)
これをカンペを見ながら話していたらどうでしょうか?
私だったら、「おー・・・ガチガチにセリフ考えてきたな」って思ってしまいます。
カンペの有り無しでこんなにも印象が変わるんですね。
【全ての人へ向けた・実体験を思わせるメッセージ】
このスピーチの感動が大きくなる要因が、その言葉が新郎新婦へ向けたものだけでは無いという所なんです。
その部分がこちら・・・
I’d only give one piece of advice to anyone marrying.
結婚するカップルに1つだけ忠告したい
We’re all quite similar in the end.
人生は結局同じなんだ
We all get old and tell the same tales too many times.
年を取り同じ話を繰り返す
But try and marry someone kind.
でも誰かと結婚してほしい 優しい人と
新郎新婦という枠を超えて、結婚するカップルへ伝えたい言葉という内容になっています。
新郎側のスピーチなので主に新郎に向けての内容だな・・・と思って聞いている所にこの話始めで語られると、聞いている側は自分に言われてると思って少しハッとしますよね。
But try and marry someone kind.
でも誰かと結婚してほしい 優しい人と
個人的にこの部分すごく好きなんです!
当たり前のことの様ですが、考えさせられる言葉だなと思っています。
こういった言葉、日本の定番で置き換えてみると、「人生には3つの袋があります・・・」ってやつですかね。
新郎新婦の枠を超えてゲストへ向けての内容だということは一致していますが、お父さんのスピーチとの大きな違いは、自分の人生を通しての言葉かどうかという点ではないでしょうか。
お父さんの言葉からは、自分がこれまで生きてきてこう感じているんだよという気持ちが伝わってくるんです。
▼まとめ
ここまで分析してきた内容をまとめていきます!
①伝えたい言葉を強調するために、話すスピードに緩急を付ける。間をあける。
最初に、お父さんのスピーチは1分4秒しか話していないとご紹介しましたが、その短いスピーチが短く感じないポイントが①ですね。
一般的な花嫁の手紙やスピーチが文字数:1200~1600文字の5分以内と言われてはいますが、①を取り入れることが出来ればその文字数にとらわれなくても良いのではないでしょうか。
花嫁の手紙といえば、思い入れのある事柄がたくさん詰まった文章になっていますよね。
なので、自分の中でより思いが強い部分をちょっとゆっくり読んでみたり間をあけてみるだけで、よりゲストを引き付ける手紙になるはずです!
ただ注意して欲しいのは意識しすぎるのはダメということです。
お父さんのスピーチは力まずに話しているからこそ、その緩急や間が自然に聞こえてくるんです。
ゆっくり・緩急・間という言葉を頭の片隅に入れておくだけでもだいぶ変わってくると思います。
②「愛している」などの言葉はストレートには伝えない。
これを花嫁の手紙に取り入れることが出来たら、とんでもない名作手紙が生まれるような気がします。
お父さんのスピーチを真似しちゃいますが・・・・
「私は今まで、2人の男の人しか本当に好きになったことはありません。私の旦那さんになってくれた○○さん、そしてお父さんです。」
みたいなことでしょうか?笑
文才のある方なら、もっとすばらしい文章が思い浮かぶはずです!
③カンペを用意しないで話す
花嫁の手紙は用意した手紙を読むというスタイルが一般的なので、それを大きく変える必要は無いと思います。
ただ、このお父さんの技を参考にするとしたら、伝えたい言葉の時だけ手紙から目を離してその人の方を見て話す、という方法はどうでしょうか?
手紙を読み上げるだけでも十分感動するものなので、プラスそのようなアクションがあればさらなる感動が生まれると思います!
あと、これは乾杯の挨拶や友人スピーチでももちろん応用出来る手です!
私、今まで何度か結婚式に参列したことがあるんですが、あのスピーチ良かったな・・・と今になっても思い出すスピーチってカンペを読んでいないスピーチなんです。
スピーチは花嫁の手紙のように手紙を読むというスタイルがあるものではないので、なるべくお父さんを目指してカンペ無しで乗り切りたいですね!
④実体験を思わせる教訓、エピソードを会場全体に向けて話す。
これは、話の内容ももちろんなのですが、今まで息子(新郎)に向けてのスピーチだったものが「これから結婚する若い人には・・・・」というように、会場全体に向けてのスピーチになっているという点が重要なのではないかと思います。
花嫁の手紙に置き換えると、両親以外の人への内容を入れるというのはどうでしょうか?
私が今までに聞いた花嫁の手紙の中だと、両親への内容を読み終えた後におばあちゃんへ向けての感謝を読んでいた新婦がいました。
花嫁の手紙とは両親への感謝を伝えるものという固定概念があったので、おばあちゃんへの感謝が読まれたときにはハッとしたのを覚えています。
花嫁の手紙は両親への感謝を伝えるものとして多くの人に認識されていますが、そこにとらわれず広く感謝の言葉を伝えるものにしても良いかもしれませんね。
乾杯の挨拶は会社の上司や社長など、ちょっと年齢が高い方がお話してくれることが多いですよね。
そんな時にはぜひ④の実体験を思わせる教訓を話して頂きたいなと思います!
20代や30代の世代には話せないことですので、長く人生を歩んできた方の言葉をお聞かせ頂きたいです。
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1分4秒という短いスピーチの中に花嫁の手紙の参考に出来ることがたくさんつまっていました!
手紙からちょっと目を離してみるなど、少しのことでぐっと印象が変わることもありますので、これから「花嫁の手紙」を読む新婦のみなさまには是非チャレンジをして頂きたいなと思います。
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