前回のブログ記事で、DEPO LABOを立ち上げたきっかけとなった出来事を書きましたが、 今回は、そんなDEPO LABOがなぜ結婚式ビデオを作るのか? という理由を書いていきます。
この部分に触れることで、 「ここの人はそんなことを考えてるのか」 皆さんに安心感を与えるきっかけになればと考えています。
そして、 私以外のカメラマンや映像以外のウエディング関係のお仕事をされている方々も、 普段口にはしませんが、なにかしら今のお仕事に従事されている理由があるはずです。
新郎新婦お二人の周りにいらっしゃるプロフェッショナルの方々が 頭の中に描いていることを想像するきっかけにもなれば嬉しいです。
目次
▼ウエディング映像は、誰の為なのかが超明確
▼結婚式はドキュメンタリーである
▼常に成長する必要があるから
▼「あなたに作ってもらいたい」を目指すため
ウエディングビデオは、誰の為の映像なのかが超明確
前回のブログ記事でも書きましたが、 私がテレビ業界で制作の仕事をしていたとき、 「これは誰の為の映像なんだ?」「誰が見たいんだこれ?」 というような疑問を抱く場面がありました。
そんなとき、学生時代にやっていた、 ウエディングエンドロールの撮影の仕事を思い出していました。 そこでの仕事は、 自分が撮影した映像を観ている会場のお客さんが、 泣いたり笑ったりしている姿を目の当たりにするので、 大きなやりがいを感じていました。
もちろん、新郎新婦からの喜びの声などもいただいて、 嬉しい思いもたくさんしました。 そんなことを思い出しては、 「あぁ、ウエディングの仕事は、誰の為なのかが明確な仕事だ」 と感じていたのでした。
つまり、 「目の前の誰かを喜ばせることに一直線であること」 に強い魅力を感じたのです。
結婚式はドキュメンタリーである
これは自己実現的な理由なのですが、 映像を仕事にする前から、ドキュメンタリーの番組や映画を観ることが好きでしたし、 いつか自分もドキュメンタリーを作りたいと思っていました。
フリーの映像ディレクターとして独立してからは、 「ウエディングこそドキュメンタリーじゃないか!」 と気づき、テレビの仕事を辞めた後は、 ウエディングビデオの世界にのめり込むようになりました。
突然ですが、 ドキュメンタリーは、 「嘘偽りのないありのままの姿だけが映されているもの」だと思われることがあります。 私は完全にそう思っていました笑
ありのままの姿が映っているからリアリティのある映像になるのだろうし、 それは被写体の力によるもので、制作する側にはコントロールできないものだろうと。
もちろんその側面もあります。 ただ、もうひとつ大事なことを見落としていたのです。
私が好きなドキュメンタリー映画監督の一人である森達也監督という人は、
- カメラを向けられた人は、無意識に演じてしまう
- 撮影した映像を編集した時点で、制作者の意図がそこには宿る
と語っています。 つまり、 ドキュメンタリーは、ありのままの姿をただ映したリアルな映像であるだけではなく、 しっかりと演出や、観た人に意図が伝わるように、 計算と演出が加えられた映像であるということです。
これは、ウエディングビデオの世界でも、まったく同じことが言えます。 ただ、漫然と目の前で起きていることを捉えるだけではなく、 撮影と編集のすべてに理由が必要になってきます。
その理由を明確にしながら、 結婚式をドキュメンタリーとして描くことを、 DEPO LABOのウエディングビデオでは一貫して行っています。
常に成長する必要があるから
これは、そうであれよ!と自分への戒めでもあるのですが…。
ウエディング映像の仕事とは何か、を一言でいうと、 「新郎新婦へのリスペクトがあるうえで、 自分の経験と知識を活かして、 少しでも良いものを残せるように向き合うこと」 であると思っています。
まず大前提として、 新郎新婦は、お仕事を与えてくださるクライアントであることを忘れてはなりません。 そこには絶対的なリスペクトが存在します。
そういったビジネスライクな関係性だけではありません。 ウエディング映像は、人間と、その周りの人間関係の表現なので、 親しい間柄だからこそ見えるものや、感じることを大事にする必要があります。
それが、撮影や編集をするときに、 「なぜそのアングルで撮るのか」 「なぜこのタイミングでこの画を入れるのか」 というような理由が明確になっていきます。
クライアントであり、友人でもある。 新郎新婦と、そんな関係性を築くことができたらベストだと思います。
そして、 常に同じスタイルでやり続けるのではなく、 絶えずアップデートをしていかなければなりません。 時代ごとに、トレンドやお客様の好みは変わっていきます。 カメラや機材もどんどん新しくなっていき、表現の幅や選択肢が広がっていきます。
映像のこと以外にも、結婚式場との関係性や、装飾やドレスのこと、新しい音楽など、 あらゆる流行の変化に目を向けなければなりません。
時代とともに変化するあらゆることをインプットした上で、 今自分ができる最善の方法を提案していきたいと考えています。
「あなたに作ってもらいたい」を目指すため
私は常々、 「何を作ったか」 よりも、 「誰が作ったか」 のほうが重要であると思っています。
「そこそこクオリティの高い撮影をしてくれる赤の他人のカメラマン」 と、 「アマチュアレベルだけど、小学校からの幼なじみのカメラマン」 の両者がいた場合、 概ね、幼なじみのカメラマンにお願いしたいと思うのではないのでしょうか。
これは、映像だけじゃなく、いろんな分野でも同じことが言えると思います。
料理で例えてみましょう。 高級レストランで食べる豪華絢爛な食事も美味しいけれど、 お母さんの手料理にはかなわない、 というようなことがあるのではないでしょうか。
これは、単に料理がおいしいか、まずいかだけではなく、 誰が作ったのかというところに意味を感じる、 感性が働いているのです。 人間の持つ判断基準のひとつに、 そういうものがあることは、 なんだか温かみのようなものを感じます。
私がDEPO LABOという自分の映像ブランドを立ち上げるまでは、 100%下請けのウエディング撮影の仕事だけで成り立っていました。
下請けの仕事の場合、 基本的に、結婚式当日に、式場で初めて新郎新婦と顔を合わせます。 新郎新婦側からすると、 事前に式場などの打ち合わせの席で、 サンプル映像を確認し、こういうような映像を撮ってくれるプロの人が来るという認識です。 要は、顔も知らない赤の他人が挙式当日に来ることを待ち構える形です。
挙式当日、 初対面の挨拶を交わして、 撮影を終え、完成品の納品をして、 お客様に喜んでいただく。 というのが、基本的なお仕事の流れでした。
あらゆる新郎新婦とご一緒させていただくうちに、 やりがいを感じる素晴らしい仕事だけれども、 どこかで物足りなさを感じてしまっている自分がいました。
(本当に、ここだけの話なのですが) 「撮るのは自分じゃなくてもいいんじゃないか」 という思いが、次第に浮かんできてしまったのです。 極端な話、 私よりも腕の立つカメラマンはたくさんいますし、 突然私が事故かなにかで式場に行けなかったとしても、 新郎新婦とは直接面識がないのだから、 代わりの誰かが撮影をしても差し支えはないだろうと。 (実際にプロとしてそれはあり得ませんが!)
要するに、 事前に新郎新婦が確認したサンプル映像のクオリティと 近いものが作れればオッケー。その為には誰が撮ってもオッケー。 という世界なのだなぁと思ってしまったわけです。
この先、映像を表現する人として生きていく場合、 このままの気持ちで仕事に臨むのは、何より新郎新婦に失礼だと思いました。 そして、 仕事を続けていくモチベーションにも、 すぐに限界が来るだろうと危機感を覚えました。
だとするならば、 「あなたに作ってもらうことに意味がある」 とお客様に思ってもらうことを目指したい。 そのためには、 事前の打ち合わせなどで、 とにかく新郎新婦と会うことが大切だと思っています。
映像のご希望について確認をすることはもちろん大事ですが、 聞ける範囲でのお二人の生い立ちやご家族のこと、 どんなお仕事をしているのか、何を大事にされているのかを伺うこと。 そして、全然関係ないくだらない話をすることも大事だと思っています。
短い時間のなかでも、そのひとつひとつが、 私にお仕事を依頼する意味につながることを信じてやみません。
DEPO LABOが結婚式映像を作る4つの理由
- ウエディング映像は、誰の為なのかが超明確
- 結婚式はドキュメンタリーである
- 常に成長する必要があるから
- 「あなたに作ってもらいたい」を目指すため
これらの4つの理由が、 DEPO LABOがウエディング映像を作り続ける理由になっています。
冒頭にも書きましたが、 ウエディングのお仕事をされている、 プランナーの方、メイクの方、音響の方、式場スタッフの方などの方々は、 みなさんそれぞれ、似ているようで全員違う想いを持って、お仕事をされているはずです。
ここに書いたことが、 ウエディング映像だけの話ではなく、ウエディングでお仕事されている方と、 共通する部分もあるかもしれません。
新郎新婦が満足できるかどうかは、 おふたりの結婚式に関わった人たち全員の総合力にかかっています。
結婚式に関わるすべての人が、何を頭に描いて、おふたりのご結婚式に携わっているかが、 想像できるきっかけになれば嬉しいです。
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