DEPO LABOの映像ディレクター、大方です。
突然ですが、映画っていいものですよね。
映画で描かれているものは、「自分じゃない誰かの人生」なので、生きていくうえで、たくさんの学びや発見があるものです。
それだけでなく、撮影や編集の手法など、映像ディレクターとして沢山のヒントを、映画のなかに見つけることが多々あります。
そんな映画たちに感謝と尊敬の念を込めて、2016年に劇場で鑑賞した32作品の中から、勝手に部門別に表彰します。
私は批評家ではないので、個人的に良いッ!と思ったことだけ書きます。
目次
▼ノミネート作品紹介
▼主演男優賞
▼主演女優賞
▼助演男優賞
▼助演女優賞
▼監督賞
▼新人賞
▼撮影賞
▼視覚効果賞
▼歌曲賞
▼集客賞
▼ベストオープニング賞
▼ベストエンディング賞
▼エロティック賞
▼最優秀作品賞
ノミネート作品紹介
『クリード チャンプを継ぐ男』
ロッキーが師匠になるボクシング映画。弟子特訓シーンの、黒人だからこそできる音楽表現が優勝。
『ザ・ウォーク』
世界貿易センタービルにワイヤーを張ってゲリラ綱渡りしちゃった男の話。ビルの存在と男の功績が泡沫に消えた儚さが優勝。
『ヤクザと憲法』
事務所に潜入し、ヤクザたちに密着したドキュメンタリー映画。ヤクザにだって人権があるのだと考えさせられる痛快さが優勝。
『DOG LEGS』
世田谷の障がい者プロレスに密着したドキュメンタリー。日本にこんなパンクな奴らがいるということを、ニュージーランド映画に教えられるとは。優勝。
『家族はつらいよ』
熟年離婚をめぐって一家がドタバタする映画。安定感バツグンの山田洋次監督が描くジャパニーズコメディで劇場内が一斉に笑けてる一体感が優勝、
『レヴェナント 蘇りし者』
復讐の映画。連れ添ってきた馬を寝袋にしちゃう衝撃が優勝。
『クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』
愛娘が悪夢を見ないように、町民から夢のエネルギーを吸い取る男としんちゃん達が対峙する話。善悪が曖昧な悩ましい脚本が優勝。
『君がくれたグッドライフ』
ガン末期の男が、親友達と一緒に、安楽死をゴールにした最後の旅に出る話。ストーリーの重さを中和する、突き抜けたバカさと、くだらなさが優勝。
『ヴィクトリア』
一夜にして人生が変わってしまった少女の話を、140分間ワンカットで描いた映画。NG出したらやり直しのプレッシャーをはねのけ、ここぞの泣きシーンで500点の演技をした女優魂が優勝。
『キャロル』
1952年のアメリカを舞台に、当時はタブーとされていた同性愛をテーマにした作品。LGBTの美しいところだけを見せる、美術や撮影、ロケーションの美意識が優勝。
『海よりもまだ深く』
離婚をした夫婦とその子供が、台風をきっかけに一夜だけ同じ家で過ごす話。何を言っても全部格言になっちゃう樹木希林が優勝。
『64 前編』
昭和64年に起きた少女誘拐事件の時効が近づいて各方面が各々バタバタする話。後半観てえぇって唸らせる惹きつけ力が優勝。
『64 後編』
「アナログッッ!」とツッコみたくなる衝撃の展開が優勝。
『団地』
日本の団地を巡るSF映画。関西弁と関東チックなシュールさの食べ合わせの妙が優勝。
『葛城事件』
次男の連続殺傷事件を機に一家が崩壊する話。数々の実際の事件をマッシュアップすることで、日本の闇を浮き彫りにした、監督のどや感が優勝。
『ズートピア』
肉食動物と草食動物の共存社会の話。移民を排斥するトランプ政権に突き刺さる内容が優勝。
『FAKE』
ゴーストライター騒動でおなじみの作曲家、佐村河内さんのドキュメンタリー。耳が聞こえないはずなのにタバコ吸いながら、会話ができてる佐村河内さんのスリリングさが優勝。
『アイアムアヒーロー』
クソグロいゾンビ映画。もう二度と観たくないグロさが優勝。
『デッドプール』
醜い姿になった代わりに不死身の能力を手に入れた男の話。グロで下品なのに最後は泣ける妙味が優勝。
『MR.DYNAMITE』
ファンクの帝王ジェームズブラウンの映画。「なに起こるかわかんないから、とりあえず服装はいつでもいい格好しとけ」というJBの教えが優勝。
『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』
事故で他界した少年が地獄でがんばる話。映像化困難なインコ視点のシーンを描いた技術力が優勝。
『シン・ゴジラ』
もしも現代日本にゴジラが来たらというもしもシリーズ。在来線爆弾が優勝。
『ポバティー・インク あなたの寄付の不都合な真実』
寄付の闇を描いたドキュメンタリー。過剰な寄付がその土地の仕事を奪う衝撃が優勝。
『シング・ストリート 未来へのうた』
好きなあの子を振り向かせるためにバンドを頑張る青年の話。軽音楽部の恥ずかしい思い出が蘇ったので優勝。
『AMY』
27歳でこの世を去った天才ジャズシンガー、エイミー・ワインハウスのドキュメンタリー。エイミーの人気曲Valerieを流すエンドロールが優勝。
『怒り』
愛する人が容疑者になったらというもしもシリーズ。この仕事を引き請けた広瀬すずちゃんの覚悟が優勝。
『君の名は。』
他人と入れ替わる話。四ツ谷駅の美しさが優勝。
『SCOOP!』
スキャンダルを追う週刊誌のフリーカメラマンの話。新人ADが成長するぬるい話かと思いきや、まさかのクレイジー展開が優勝。
『ジェイソン・ボーン』
組織に徹底的に利用される男の復讐劇。カット編集のすごさが優勝。
『永い言い訳』
冷え切った関係の妻が突然他界した男が葛藤する話。原作のキャラ設定など、映像的にいい感じになるようにアレンジしてて優勝。
『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』
27歳でこの世を去ったジャニス・ジョプリンのドキュメンタリー。冒頭3分だけでジャニスが人気の理由がわかる構成が優勝。
『この世界の片隅に』
天然っ娘のすずちゃんの視点で空襲・原爆の時代を描く映画。すずちゃんの「ありゃぁー」の可愛さが優勝。
<部門別表彰>
【主演男優賞】
レオナルド・ディカプリオ(レヴェナント)
22年越しのアカデミー賞受賞おめでとう。継続は力なりを体現してくれました。ベジタリアンなのに生の臓器を食べる演技をする俳優魂が優勝。
【主演女優賞】
のん(この世界の片隅に)
事務所の契約問題とか諸々あってプロモーションされない中、能年玲奈から、のんという新たな名前で鮮烈なスタートを切った加速力が優勝。
【助演男優賞】
リリー・フランキー(Scoop!)
ダークナイトのジョーカーを彷彿とさせる、薬物中毒のおじさんを怪演。まさに和製ジョーカーともいえるクレイジーさが優勝。
【助演女優賞】
片桐はいり(シン・ゴジラ)
お茶汲んでるだけなのに、映っただけでなぜか笑いが起こり、一切情報が入ってこなくなる存在感が優勝。
【監督賞】
庵野秀明(シン・ゴジラ)
日本を代表する特撮作品を制作するプレッシャーを、自分の趣味だけで乗り切るという力技で日本を魅了しました。震災を意識させる内容を、あえてエンタメの作品で表現するという勇気が優勝。
【新人賞】
のん(この世界の片隅に)
名前が変わってもがんばってほしいので優勝。
【撮影賞】
シュトゥールラ・ブラント・グレーブレン(ヴィクトリア)
「140分ワンカットで撮るから」という無茶ぶりに巧みな技術力で応えました。カメラ持ちっぱなしできっと腕とかプルプルしてたでしょうに頑張ったので優勝。
【視覚効果賞】
ヴィクトリア
140分ワンカットで撮影する手法を取り、主人公の視点で描くことで、これまで感じたことのない映画への没入感を体験させてくれたので優勝。
【歌曲賞】
悲しくてやりきれない(コトリンゴ/この世界の片隅に)
ザ・フォーク・クルセダーズの名曲で、弱音を吐かないすずちゃんの本音をガーリーに表現した。それをオープニングでカマす効果も優勝。
【集客賞】
シン・ゴジラ
久しぶりに子供からお年寄りまで賑わう映画館を見せてくれた。サイリウム持ち込みOK、声出しOKの「発声可能上映」も今までにない手法で集客に成功したので優勝。
【ベストオープニング賞】
ズートピア
冒頭のメインテーマのシーンで、色んな身体を持つ動物が共存している理想の世界を、誰が観てもわかりやすく直感的に描いている。子供たちへの教育上素晴らしいので優勝。
【ベストエンディング賞】
Amy
エイミー・ワインハウスの代表曲「Valerie」を、完璧なタイミングで流す粋な演出に涙が止まらないので優勝。
【エロティック賞】
市川実日子(シン・ゴジラ)
無表情で無感情に愚直にゴジラ退治をがんばった後の、一瞬の笑顔にやられた。石原さとみを抑え、堂々の優勝。
【最優秀作品賞】
FAKE(森達也監督作品)
報道に煽られて、国民が総袋叩きにしているモノの中にある真実を次々と明らかにした。情報に溢れた現代こそ、自分の目と耳を頼りに、自分の頭で考えろという映画のメッセージが極めて明快。100通りの解釈ができる衝撃のラストシーンは、他の人と語り合いたくなるので優勝。
まとめ
長々と有難う御座いました笑
振り返ってみると、2016年は音楽のレジェンドたちのドキュメンタリー映画が豊作の年だったのですね。
邦画は、「シン・ゴジラ」や「君の名は。」の大ヒットで、東宝が快進撃を見せました。
そのどちらの作品も、東日本大震災を意識させる作品であったのも非常に興味深いと思いました。
ウエディングの映像は、基本的にはドキュメンタリーなので、ドキュメンタリー映画がダイレクトに参考になります。
特に「DOG LEGS」のプロレスシーンは、ドキュメンタリーとは思えないほどの劇的な映像になっていて、素晴らしい撮影だと思いました。
来年も様々な映画に触れて、DEPO LABO WEDDINGでの映像制作に活かしていきます。
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